平成30年度新採用職員を迎えて 理事長メッセージ|社会福祉法人 県央福祉会

理事長メッセージ

 

平成30年度新採用職員を迎えて

2018年05月

はじめに

県央福祉会は、平成30(2018)年度、43名の新人職員を迎えました。例年なら、3月下旬から約1週間「入職前研修会」を行なっていましたが、今年度からは4月2日から6日までの5日間で集中的に実施しました。 

イタリア・トリエステの挑戦から学んだこと

まず、今年の1月に実施した、イタリア北部の町トリエステ視察に参加した、先輩職員たちの報告を聞きました。当法人の理念、「ソーシャル・インクルージョン(共生社会)」を現実のものにしたこと、1978年に「精神病院廃絶法(180号法)」を制定し20年かけて単科精神病院を全廃した取り組みの一端に触れたことなど、職員は深い感動を覚えたと話しました。
イタリア・トリエステでは、「精神保健センター」と「社会的協同組合」が連携して精神障がい者を積極的に受け入れており、その姿に気持ちの高揚を感じたと言います。
「自由こそ最大なる治療」、これが精神障がい者の地域生活移行の原点です。つまり、①自分でやってみせる(対等な関係)、②高い位置から降りて同じ目線で働く、施設が開かれている、③難しい患者にも常に冷静に対応する、④自信を持って関わり相手を信じる、⑤人に最大に注目して対応する、の5点を大切にしていることを学んだそうです。
サン・ジョバン病院(精神病院)は、かつての日本と同じような隔離収容主義の象徴でしたが、今では地域生活移行の拠点となっています。「近くて小さな家庭のような環境」の精神保健センターを中心に、相談支援・ショートステイを持ち、社会的協同組合が運営するレストランや縫製工房の「リスター」を中心にショップがあり、ラジオ局を持つなど、日々の経済活動を障がい当事者とともに行っています。利用者には高額の工賃を支払い、イキイキと活動していたとの報告がありました。

30年度採用職員たちの夢とこれからの挑戦

5日間の研修の締めくくりとして、これからどんなことに挑戦したいか6グループに分かれて発表しました。その中から4グループの発表を紹介します。

Aグループは、激動期には、時代が求めるニーズに対して積極的に「起業」し、職員の満足度を高めるなど、仕事以外の様々な「イベント」にも挑戦したいと語りました。今はスマートフォンなどで新たな情報を得たり、就活や資格取得、大学の授業などでも動画から情報を得ているとも言われています。情報を先取りするためにもSNSを積極的に取り入れたいとも言います。ほかにも、「地域清掃活動」も行いたいと発表しました。

Bグループの職員は、県央福祉会がテレビ局を持ち介護・障がい者支援・療育・保育等の実態を報道し、介護や支援等を誰にとっても身近なものにしたいと言います。「テレビ局には様々な仕事があり、障がい者の働く場として恵まれている。障がい者が生活保護や低賃金からの脱出が可能」と語り、「目指せ!月収20万円」と叫びました。自分たちで作れなければ、テレビ局を買収しようなどと奇想天外な発想も飛び出すなど、若者たちのエネルギーを感じました。

Cグループは女性だけのグループです。主なスローガンは「テーマパークを作ろう」でした。「キッザニア東京」をモデルに、様々な職業が体験できたり、法人内の就労継続B型事業所の商品や製品及びカフェレストランの料理などを販売し、障がい者が働く「テーマパーク」にしたいと言います。「楽しいこと!」「大きなこと!」を考えなければ時代は変えられない。多くの障がい者が働く社会を作りたいとも語りました。

Dグループは、居酒屋を経営し障がい者を雇用したいと言います。この居酒屋は子ども食堂や低所得者、認知症カフェも兼ねる地域に根ざしたカフェレストランにしたいそうです。また、空き農地を活用した都市型農業など農林水産省と厚生労働省が障がい者の新たな雇用と提案する6次産業にも挑戦したいと言います。法人の理念であるソーシャル・インクルージョン(共生社会)づくりに挑戦すべく、様々な企業や地域社会との連携を図り、地域の人々たちとともに歩めるネットワークづくりを目指したいと語りました。

まとめ

今年度県央福祉会に入職した若い職員たちの柔軟な発想と新しいエネルギーに感動しました。よく「今時の若者は!」と評して、「素直で真面目で、言われたことはしっかりやるが、挑戦しようとするエネルギーが感じられない」などと言いますが、それは間違った見方だと痛感しました。新人職員の育て方が悪いのに、若者のせいにしがちです。初々しい気持ちと何事にもチャレンジする好奇心をかき立てようとしなかったのは、経営者や各事業所の所長や上司・先輩たちの責任だと思いました。「鉄は熱いうちに打て!」と言います。若者のせいにせず、法人の新人職員の育成に努力すべきであると身に染みて感じました。

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