ベトナム社会主義共和国を訪ねて

1.目的
 社会福祉法人県央福祉会の基本方針では、国際貢献を述べております。特に東南アジア、東アジアの福祉人材の育成に寄与し、国際貢献に努めたいと思っております。今回ベトナム国を訪問させて戴いた目的は、ベトナム国の現状に触れどの様な貢献から開始したらよいか情報を収集するためです。

2.日程

平成25年2月19日から2月23日

3.訪問者

社会福祉法人県央福祉会 理事長    佐瀬 睦夫
社会福祉法人県央福祉会 企画総務部 長島 正樹

4.訪問地

ハノイ市街地 タンロン技術学院と研修・高齢者施設建設予定地
ティエン・デュック高齢者介護施設
SOS CHILDREN’S VILLAGE HANOI(孤児院・児童養護施設)
サダン小中学校
ベトナム友好村

5.ベトナム国の情報

地理      インドシナ半島の東半分を占め、南北に長いS字型に伸びている地形
面積      32万924K㎡(日本の九州地区を除いた面積)
日本との時差 マイナス2時間
日本との距離 3600Km(直行便で6時間)
人口      8,714万人
通貨      ドン(1円=240ドン)
言語      ベトナム語、表記:ローマ字
民族      多民族国家(キン族=90%)
歴史      1010年 李朝大越国誕生から1802年までハノイに都が置かれた
         1882年 フランスの植民地
         1960年 アメリカとの戦争
         1975年 ベトナム社会主義共和国誕生
生活      インフラ整備が遅れています

6.近況

「ドイモイ」(刷新)政策により変化
☆ 4つのスローガン
 1)社会主義路線の見直し
 2)産業政策の見直し
 3)市場経済の導入
 4)国際協力への参加を進める
☆ ドイモイ政策の目玉
 1)市場経済への転換(国営、公営以外の私企業の存在を認める)
 2)私有財産の認可(国民のやる気を喚起、経済活性化の原動力)
 3)働きがい(働いた分だけ給料が増える社会)
☆ 具体的政策
 1)企業の自主的裁量権の拡大
 2)農業請負制の導入
 3)海外資本の投資など対外開放政策

7.訪問
1)タンロン技術学院
 1975年まで東京大学に留学されていたムイ先生にお話しをお聞きしました。 タンロン技術学院は、日産テクノを中心に日本企業の援助を受けながら苦学生を対象とした短大で、授業料は、無料、ITと設計の2学科が有り、日本語で授業を行っています。 ムイ先生の次の構想は、学生用研修施設及び高齢者対象の施設の建設です。ハノイ市街地より北に自動車で40分の所に20ヘクタールの建設予定地があり、視察させて戴きました。
 日本の民間企業からの援助、社会福祉法人のノウハウを受けてベトナムの若い人達が学ぶ環境の整備、高齢者の方々には、安心して暮らせる環境の提供を目指したいとのことでした。

    

2)ティエン・デュック高齢者介護施設
 施設長のゴック氏にお話しをお聞きしました。
 ベトナム国内は、県ごとに1ヶ所、国営の高齢者介護施設があり、その他は、有料老人ホームです。ティエン・デュック高齢者介護施設もその一つです。多くの高齢者の方々は、自宅で親族の介護を受けております。 ゴック氏は、日本の高齢者介護を5年間学んでおられます。 ハノイの高齢化率は、7%であり、高齢化社会に突入しております。ベトナムでの介護は、看護師が行っており、人員不足の状況です。
また 経費面でも入居費と経費のバランスは崩れております。施設運営は厳しくゴック氏が経営する医療機器販売会社が赤字を負担しております。

入居費用: 1,840円~2,760円/月
職員:    看護師45名、医師2名
給与:    18,400円/月(ベトナム国の平均給与より低い)
支援:    日本ODAより1000万円の援助プロジェクトが2013年4月より開始されました
育成:    日本で就労を目指す150人の看護師さんが日本人講師による日本語教育を
        受講しております
将来:    日本の様なディサービス、ショートスティ、余暇支援などもサービスに組み込みたいとの事
        です

      

3)SOS CHILDREN’S VILLAGE HANOI(孤児院・児童養護施設)
 NGUYEN VAN SINH施設長さんに話をお聞きしました。
 原則入居対象者は、0歳~16歳までで保護者がいない方、また 保護者がおられても経済的に困難な家庭や両親が服役している家庭の子供達が入居しております。
 運営資金は、SOSから97%、他は、団体からの寄付です。政府からの援助は有りません。

費用:   無料
児童数: 205名であり、18歳~25歳(最年長)の方々が50人です
建物:  1寮(コテージ風)12名で家族と言う単位を構成しております
支援者:1寮に1名の寮母(母親役)がおられ支援しております

4)サダン小中学校
 DINH VAM DONA校長先生にお話しお聞きしました。  1970年に障がいのあるお子さんのために作られた公立学校でしたが1988年より障がいの無い子供達も受け入れております。障がいのある幼児・小学生は、本校で200名受け入れております。

方針:  軽度の障がいのある子どもは、自立する能力を身に付けさせる(特別支援教育)
クラス: 小学生(1年―5年)、中学生(6年-9年)
編入:  障がいの有る子供も途中から通常学級に編入出来ます
授業:  障がいのある児童、生徒は、午前中通常授業、午後手作業を行います
進学:  障がいのある生徒の進学率は、10%です

         

5)ベトナム友好村
 DANG VU DUNG施設長さんにお話しをお聞きしました。
 ベトナム戦争で従軍したアメリカ退役軍人が発起人となり、ベトナム友好村を創設しました。 現在は、戦争で影響を受けた人たちを介護することが主であり、ベトナム人の退役軍人60人と枯れ葉剤などの影響を受けた子ども達120人が入居しております。また 社会に出て生活出来るように造花、コンピュターなど職業訓練も行われております。
設立: 1998年にアメリカ、フランス、カナダ、イギリス、ドイツ、日本に呼び掛け寄付により設立されました。
費用: 無料
所管: 労働傷病兵社会問題省

     

8.訪問を終えて
1) ベトナムの現状
 ベトナム戦争による後遺症がいたるところで見受けられました。特にダイオキシンの影響を受けた国民は30万人おられ3世代にわたり苦しんでおります。 障がいのある子どもは、保護者から離れて2~3年間集団生活をしています。今後ベトナムも高齢化社会に向かい、多くの課題が山積です。社会保障や福祉に予算を配分するには、まだ数年掛ると思われます。現状での優先課題は、生活環境のインフラ整備、海外企業の誘致などとなっております。

2) 社会福祉法人県央福祉会の取り組み
 多くの関係者の方とお会いしベトナム国の福祉の現状をお聞きし、日本の福祉事情との差を感じております。日本の仕組みをそのまま導入しても良い結果は得られないと思います。身近な所から出来る活動案を下記に述べます。
 ・福祉職員の人材交流
 ・職員技術研修の受け入れ
 ・県央福祉会職員の短期留学
 ・定期的なベトナム国へのスタディツアーの企画
 ・「ベトナム友好村日本委員会」との連携
社会福祉法人県央福祉会として何が出来、何が有効かを今後詰めて参りたいと考えております。


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